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つばめ舎
建築設計
「読む団地」ジェイヴェルデ大谷田
all photos©中村晃
築43年の大規模団地の住棟1階をリノベーションした若者向け「団地シェアハウス」。「本から始まるご近所づきあい」を合言葉に、入居者が住人同士だけでなく、団地の高齢者や子育て世代など周囲の多様な人々と会話を交わし、地域コミュニティの一員になっていく過程をゆるやかに後押しする仕組みとして「ブックシェア」を取り入れている。
シェアハウスに改修する前は足立区の保育士の寮だったが、時代の変換とともに使われなくなり、長期にわたり遊休施設となっていた。 また、この大谷田一丁目団地は昭和期に建設された他の団地群と同様高齢化が進み、単身世帯の増加、団地内の居住人口が減少傾向にあり、コミュニティの持続に不安を抱えている。そこで、当プロジェクトでは「ブックシェア」を起点とした若年層向けのシェアハウスを計画することで、遊休施設の活用だけにとどまらず、入居した若者が本をきっかけとして、日ごろから挨拶を交わし、物の貸し借りや譲り合いもできる共助のコミュニティが平時にも有事にも役立つと考え、信頼関係を育めるシェアハウスを目指すことにした。 「ブックシェア」を取り入れたのは、本は年齢問わず馴染みがあること、また図書館や古書といったユーズド文化があり、貸し借りのやりとりが生まれやすいと考えたからである。
「読む団地」の活動は居住者の「住人有志」、全体マネージメントの「日本総合住生活」にアドバイザーとしてブックライフディレクターの「つばめ舎建築設計」、ブックコーディネーターの「tsugubooks」、デザイン会社の「MAQinc」が加わって進めている。入居者同士の感性を緩やかに交わらせるという考えから、各々の役割やルールを最初から決めつけすぎず、対話を重ねながら活動を組み立てる過程を重視している。「読む団地」の本の役割は読むだけではない。本好きでなくても気軽に参加してもらえるように“遊び”の要素を取り入れたワークショップやイベントを企画することで、緩やかに知人、地域の人びと、地域の企業等の仲間を増やしていく。シェアハウスという暮らしの場に、本と触れ合い、本で遊べる場があること、本を通した「静かなコミュケーション」が生まれるコトの価値を感じている。
事業主体 足立区+日本総合住生活株式会社
プロデューサー 日本総合住生活株式会社 住生活事業本部
ディレクター 日本総合住生活株式会社 住生活事業本部 事業計画部 事業計画課 安藤誉和、石垣曜子
つばめ舎建築設計 永井雅子、根岸龍介
基本設計・実施設計 株式会社みのべ建築設計事務所 蓑部和人、妹尾順一、石丸豊二
コミュニティラウンジデザイン 株式会社FUN STUDIO 松井英二
サイン・グラフィックデザイン 株式会社マック 山田洋平、平井良尚、山口明希子
リビング・廊下デザイン つばめ舎建築設計 永井雅子、根岸龍介
ブックコーディネーター tsugubooks
▪「新建築2020年6月号」掲載.
▪TBS系列放送の「王様のブランチ」で紹介.
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